【愛玩動物看護師国家資格最新情報】業務の変化とメリット

令和4年度の第73回獣医師国家試験も本日終了し、いよいよ愛玩動物看護師国家試験も近づいてまいりました。まだ、今後の日程は確定していませんが、日々少しずつ準備をすること、情報収集を怠らないことが大切です。

それでは本日は国家資格に伴い業務がどのように変化していくかについて記載していきます。

国家資格になると何が変わるの？

国家資格化に伴い業務の独占が起こります。
具体的には明記されている業務内容としては、診療の補助です。

では、診療の補助とはどのような業務でしょうか？

１．輸液剤の投与
２．マイクロチップの装着
３．採血
４．投薬
５．カテーテルによる採尿
といった一部の行為で獣医師の指示の下で認められたことになります。

これまでの業務に制限にかかるほか、従来できなかった補助が可能となります。

手術や診断、X線検査などはこれまで通り獣医師の業務独占の範囲になります。

資格を持っていなくてもできることは？

愛玩動物の世話とその他愛玩動物の看護、愛玩動物を飼養する者その他の者に対する愛護及び適正な飼養に係る助言等を業務は愛玩動物看護法第２条第２項で認められています。

具体的には

１．入院動物の世話
２．検査（診断を伴わないもの）
３．手入れに関する指導
４．基本的なしつけ
５．動物介在活動の支援
６．動物介在教育の支援
７．災害発生時の被災動物適正支援のための支援
８．動物のライフステージに合わせた栄養管理

以上のようにできることもまだまだあります。

対象の動物は？

愛玩動物看護法では飼育する動物のうち、
・犬
・猫
・その他法令で指定された動物（愛玩鳥：オウム科全種、カエデチョウ科全種、アトリ科全種）

※オウム科全種：セキセイインコ、オカメインコ、ボタンインコ、ヨウム等
カエデチョウ科全種：ブンチョウ、ジュウシマツ等
アトリ科全種：カナリア等

ウサギや亀などその他の動物は規定する飼育動物に含まれておらず、”愛玩動物”に含まれていません。

「愛玩動物」の定義に含まれない動物についても、愛玩動物看護師は診療の補助を除くその業務（看護、愛護・適正飼養支援等）を実施することは可能です、記載されています。

これまでの民間の資格はどうなりますか？

愛玩動物看護師法第42条には以下のように記載されています。

愛玩動物看護師でない者は、 愛玩動物看護師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/doubutsu_kango/attach/pdf/rule-1.pdf

紛らわしい名称とは動物看護師、動物看護士等の、社会通念上、愛玩動物看護師の業務を行う者のような印象を与える名称になります。

資格取得することで他にメリットは？

給与や待遇

病院の雇用形態や業務によっては、仕事内容の変化はないかもしれません。しかしながら、国家資格になると上述した業務と名称の独占から動物看護師を名乗ることができなくなります。
資格保有者と非資格所有者であれば給与や待遇の向上が見込める可能性は出てきそうですね。

転職率の向上

動物看護師の活躍の場は動物病院はもちろん、大学病院、検査センターや専門学校、そのほかにも飼い主さんのしつけ教室を開設したり、オンラインセミナーなどを始める方もいらっしゃいます。今後更なる業務の拡大も見込めます。その際、資格を保有していることは業務の幅も広げ、転職率の向上にもつながります。

まとめ

今までは業務を遂行するにあたり、資格というしがらみもなく就業することができました。今後はさらなる分業化や組織化が人医療のように展開されていくかもしれません。導入後すぐには資格のメリットや恩恵は感じることはできないかもしれませんが、自分自身の可能性に制限をかけないよう、取得できるうちに国家資格を持っておくことはいいことのように思われます。

仕事をしながらの取得は大変になり、時間も精神的にも余裕がなくなってしまうかもしれません。我々は、愛玩動物看護師を目指す皆さんのお役に立てるよう、新しい情報とツールを提供していきます。

参考URL：
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/doubutsu_kango/
https://vcareer.net/vet-nurse-license-merit/
https://www.heco.ac.jp/news/1856/

受験資格についてはこちらを参考にしてください

この記事を書いた人

株式会社 and Vet　
獣医師　金井 一晃

麻布大学獣医学部卒業
日本獣医循環器学会　所属

動物の幸せは動物業界に関わる人々の幸せから