BLOG

ブログ記事詳細

【タイの獣医師/動物病院事情】世界を旅する獣医師 —佐藤龍之介-

2022.08.16

今日のブログは世界を旅をする獣医師佐藤龍之介先生による
世界の獣医師のリポート第一弾です。

and Vetに在籍し、遠隔でお仕事をするメンバーの1人です。
世界の視点から日本の獣医療会に何か寄与できることはないか、
旅の中で肌で感じたことを綴っていただきました。

それでは、佐藤龍之介先生お願いいたします。


はい、みなさんこんにちは
紹介にあずかりました獣医師の佐藤龍之介です。

私は2022年の4月より世界一周の旅に出ています。
一度大動物獣医師の仕事を退職して、現在はアジアを中心に旅をしています。
そしてand Vetさんから遠隔でお仕事を頂きながら、獣医師として仕事をしております。
つまりフリーランスの獣医師として診療以外で働いているというわけです。

世界の獣医師事情や動物の環境などをみなさんにシェアしていきます。
よろしくお願いします。


第1弾  ータイの獣医師事情/動物業界ー

目次
タイでは犬の殺処分は認められていない
狂犬病の危険性
タイの小動物臨床(動物病院)事情

今回はタイの獣医師事情や動物業界のことについて、僕が自分の目で見てきたこ とをみなさんにシェアしたいと思います!

タイでは犬の殺処分は認められていない

タイでは犬の殺処分は認められていないません。
日本のように積極的に保護して最終的に殺処分す るなどの方法をとることができません。
ですから、基本的に野良犬は放置。どこにいこうが何をしようが、誰かが積極的に対策をするということもありません。

これは数十年前の日本と同じような感覚でしょうか? 僕が幼少期の頃は、確かに野良犬が結構いた印象があります。
時々追いかけられた記憶もあるので、それがタイに来て蘇りました。

そして何より野良犬の怖さが、時として襲ってくるということです。 基本的に野良犬たちはおとなしく、ボーっと寝ているか歩いているだけです。90%の犬は近づいても写真撮っても何しても大人しいです。

ただ時として人間に対して牙をむく犬が10%くらいいます。
特にそれは都心部ではなく郊外に多い印象です。どうしてそのような差が生まれるのか。

気になって僕も調べてみたのですが、都心部にいる大人しい犬たちは、人間たちの生活に馴染む ことができます。
しかし、攻撃的な犬は殺されはしませんが、人間たちから嫌われて追い出されてしまいます。
そして郊外へ逃げ込みます。 なので傾向として郊外に攻撃的で危険な犬が増えるそうです。

特に夜になると犬たちは活発化します。
縄張り意識が強いので、少しでも彼らの縄張りに入ろうものなら、ものすごい剣幕で吠えられます。
基本的には吠えられた時にすぐに居なくなればそれで終わりなのですが、時として牙を剥いて全力で追いかけてくるのです。

特に群れでいる犬たちは、完全にハンターの目つきで追いかけてきます。僕はそれで10回くらい タイで追いかけられました。というのも私はその時自転車に乗っていたのですが、自転車を漕ぐ動きがなぜか彼らの闘争本能を刺激するそうなのです。ですから、私は彼らの縄張りに入り、大いに刺激していたというわけです。

狂犬病の危険性

また野良犬で怖いことの第一として、多くの人が狂犬病を思い浮かべると思います。
日本は世界を見ても数少ない狂犬病の清浄国です。狂犬病予防法でワクチン接種や届出が義務付けられているので、日本にいて狂犬病の脅威に晒されることはありません。

でもそれはとてもレアで、基本的にどこの国にいても狂犬病はリスクとして付きまといます。
タイでは飼われている犬は大丈夫ですが、野良犬で狂犬病ワクチンを打っている犬なんていません。
ですから、噛まれたらほぼ確実にウイルスに感染しています。

これだけお話しすると海外へ足を踏み入れることをしり込みする方もいらっしゃると思います。
人においても、予防接種としてのワクチンがあり、また噛まれた後でも期間内にワクチンを接種すれば発症するリスクは大いに軽減されるので正しい知識を持っていれば恐れることはありません。

ただ、狂犬病以外にも破傷風やさまざまな病気、また単純に噛まれることが怖いですよね。
なので、もしタイに来たらそこは気をつけなくてはなりません。

とはいえ、タイでは動物を殺処分することができないので、これから先野良犬が減っていくことはあまり現実的ではないようです。
また、野良犬を手当たり次第に捕まえて、ワクチンを打つということも難しいようです。
それがタイに来てまずショックを受けたことでした。

島国という利点が功を奏したとはいえ、感染症への対策を国と飼い主が一丸となって、狂犬病の蔓延を防いでいる日本という国を誇りに思います。
とはいえ、まだ狂犬病の接種率は高いものではなく、法律上の罰則はないもののペットへの接種をしていない飼い主も見受けられるのが現状です。

無治療での死亡率は100%に及ぶ狂犬病の対策は一人一人の意識が大切になりそうです。
病気になるわんちゃんももちろんのこと、人の健康のためにも接種は続けていきましょう。


佐藤先生ありがとうございます。日本の狂犬病の対策は飼い主様の努力のたまものですね。
今後も公衆衛生のため、人医療と二人三脚で様々な感染症がはやることのない日本、安全な国日本となるように我々獣医師も気を引き締めていく必要がありそうです。
飼い主様一人一人にしっかりと理解、接種を促すこと。我々小動物の臨床医も気が抜けません。

狂犬病の蔓延だけを取り上げると日本の方がより発達しているようにも見えますが、
タイの動物病院は日本と比べていかがなのでしょうか。


タイの小動物臨床(動物病院)事情

小動物臨床の分野においても、日本ほど進んでいるとは言えません。
先程タイでは野犬がかなり多いという話をしました。 ですが、ペットとして犬や猫を飼う人が増えているのもまた事実です。

特に都心部において首輪をした犬や猫を見かけることが、数年前にタイに来た時よりも多くなった気がします。
室内で、お風呂に入って清潔にしている様子で飼われていました。 東南アジアに来てから不用意に動物にさわれなくなった私でしたが、割と信頼して触れる動物が増えていました。

こう言った人たちは動物が病気になったり、体調が悪そうだったりすると、しっかりと動物病院へ連れて行きます。
タイにも動物病院はしっかりとありますし、6年間の教育を受けた獣医さんがいます。
現地で評判の高い動物病院もたくさんあります。

とはいえ中には、日本の獣医療と比べた時に劣ると感じる… と言ったコメントがあったりします。
その辺りに関してはまだ日本の方が進んでいると言えそうです。

タイでは経済発展が目覚ましいとは言え、ペットを飼うという行為はかなりの贅沢になるのだろうなと感じました。
また病気になった時に病院に連れて行ける人もまた裕福な人でないとできないです。

ペットの保険制度も存在するようですが、まだまだ一般的ではないように感じます。 なのでこれからさらに経済発展が進み、人々の生活が豊かになっていくにつれて、獣医療の向上や、それに伴う制度は充実していくのかなと感じました。


なかなか、文面でしか目にすることのできない海外の獣医療事情。
成長率はアジア圏を見てもめまぐるしい速度で迫ってきていると感じています。
日本の企業からも海外へ動物病院を設立し、進出することも増えてきています。
日本の獣医療の拡大が、獣医療業界の発展と市場規模の向上につながると考えます。
獣医師は低所得。業界人は頭を抱えています。

佐藤先生の発見を日本の獣医療業界に寄与し、獣医療従事者が一人でも多く輝ける現場を開発し、
動物たちを含め、幸福度の向上につながる活動を目指していきます。
引き続き、現場でのお声をお待ちしております。


この記事を書いた人
株式会社 and Vet 
獣医師 金井 一晃

麻布大学獣医学部卒業
日本獣医循環器学会 所属

動物の幸せは動物業界に関わる人々の幸せから